内村颯太の右耳に触れている手に関する論考

1 課題の設定

本稿は2018年12月20日に刊行された「Myojo 2019年2月号」の73ページに掲載されたある画像に関して考察を試みるものである。

同誌内において、【5忍者 ムチャぶりカルタ大会】と題された記事は72ページから73ページの2ページに渡っており、テキストではカルタ大会中の和気藹々とした様子が報告されている他、半纏を身に纏った5忍者の面々が楽しげにカルタをしたり、こたつに入ってくつろいだりする姿が写真として掲載されている。

その中で本稿で取り上げたいのは下に示す《写真1》である。


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《写真1》

 

特に考察を要するのは画面一番左に位置する内村颯太の右耳付近である。

拡大したものを《写真2》として下に示す。

 


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《写真2》

 

内村の右耳に何者かの手が触れているのである。

本稿ではこの手の主が誰なのかを分析していきたいと思う。

 

2 仮説

5忍者は元木湧、川﨑皇輝、内村颯太、ヴァサイェガ渉、北川拓実(年齢降順)で構成されている。

内村の右耳に触れている手の持ち主は当然、内村を除いた4人のうちいずれかであるということになるが、内村とこたつを挟んで反対側にいる北川は写真内で右手がこたつの上にあることが確認でき、映っていない右手で内村の右耳に触れるのは常軌を逸しているため考察の対象とはしない。同様に両手がハッキリと映っている元木も考察の対象とはなりえない。つまり、仮説としては

(A)ヴァサイェガ渉の右手である。

(B)川﨑皇輝の右手である。

の二つしか成立しないことになる。 

 

3 (A)ヴァサイェガ渉説について

まずは(A)のヴァサイェガ渉の右手であると言う説について検証していく。

《写真1》における位置関係、距離から見て、内村の右耳に最も無理なく手を届かせることができるのはヴァサイェガ渉であると考えられる。

ただし現状、筆者はこの説に対しては否定的である。写真に映っているヴァサイェガの右肩の角度を見てほしい。肩の下がり方から鑑みて《写真3》に図示したように赤い矢印のような方向へ腕が伸びていくと考えるのが最も無理がないのではないか。無論、青い矢印のような導線を辿れば右耳に到達することも可能ではある。


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《写真3》

 

しかしそうであるならば、わざわざ右耳を選んでいる説得的な根拠は何だろうか。これは一般論、あるいは筆者自身の固定観念に過ぎないのかもしれないが、通常このような場面では肩かあるいは背中に手を置くのではなかろうか。そしてヴァサイェガの位置からなら、難なく肩や背中に手を置くことができるはずだ。

以上のようなことから(A)説については一定の根拠は認められつつも、やや難点が大きいように思われる。

 

 

4 (B)川﨑皇輝説について

次に(B)説について見ていこう。

身に纏っているのが半纏であるというのが思考を難しくしているが、川﨑の右手が内村の右耳に向かっているとすれば《写真4》の緑の矢印のようになろう。


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《写真4》

 

その場合、川﨑の腕の長さがやや余ってしまうのではないかという懸念はあるが、川﨑の身体は彼から見て左半身がやや前に出ていると見られるため、その点で以て解消することはできないか。ただしこれはより立体的な情報が得られない限りは検証するのが難しいと言わざるを得ない。

次に生まれる疑問は川﨑の右手が床ではなく、内村の右耳にあるとしたら、どうやって彼の身体は支えられているのかということであるが、これについては左手がこたつに触れているのが明らかなことから、その左手とこたつによって支えられていると見ることができよう。あるいはこの写真が撮られた瞬間が《写真5》のような状態から左側へと身体を傾けている途中であるとすれば、左手が身体を支えていなかったとしても、この後全身ごと左に向かって倒れていくということになり、右腕によって体重を支えられていなくても不都合はない。


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《写真5》

 

そして注目すべきなのは内村の頭が川﨑の右腕に密着していることである。これこそが二人が《写真5》のような状態から左に傾いているということの根拠となる。そして右耳に触れている手が川﨑のものであるとすれば、川﨑が自身の方向へ内村を引き寄せているということにもなり、それに伴い内村の頭が川﨑の右腕に密着していると見ることが可能だろう。

また以下はこの事象に対する論拠としては成立しないだろうが、《写真6》のように川﨑と内村は隣、あるいは前後に並んだ際にどちらかがもう一方の身体に触れるということも珍しくない。


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《写真6》

 

5 結び

以上のような観点から《写真1》において内村颯太の右耳に触れているのは川﨑皇輝の右手であるという結論を導出する。

無論、考察の材料が乏しいこと、それによりかなりの部分を推測の域で議論しなければいけないという課題は遺っている。

 

 

 

 

 

 

5忍者コンセプトライブ Koki & Sota Happy Wedding!!

この企画は、最近の川﨑皇輝と内村颯太があまりにも仲睦まじい雰囲気を醸し出してくることにより

もはや結婚させてしまいたいと思い至った

気の狂っているオタクが

【皇輝と颯太の結婚披露宴】をコンセプトとしたライブを作り出したものです。

 



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いずれ実現する可能性は天文学的な数字だと思いますが

良ければ想像しながら楽しんでください。

 

【出演】

5忍者

 川﨑皇輝

 内村颯太

 ヴァサイェガ渉

 元木湧

 北川拓実

 

川﨑星輝

瀧陽次朗

田村海流

 

【セットリスト】

○オープニング

Celebration!
Lucky Star

 

♪結婚行進曲
てんとう虫のサンバ

Anniversary【皇、颯】

 

○JOHNNYS' Wedding IsLAND Ⅰ
LOVE YOU ONLY
愛はタカラモノ
With you【星、陽、海】
花言葉【颯】
中越しのチャンス【皇、颯】
喜びの歌
One Love【5忍者】

 

○余興メドレー

はじめてのチュウ【渉】
糸【拓】
ウエディング・ベル【湧】
お嫁サンバ【渉、拓、湧】
ハッピーサマーウェディング

 

○二人のストーリー
第一章 出会い
キミのため ボクがいる【皇、渉、星】
チャンカパーナ【颯、湧、拓、海】
3秒笑って

第二章 願い
CONTINUE【堂本光一+皇、颯】

第三章 運命を変えた夏
エンドレス・サマー【皇、颯】
まいったネ 今夜【5忍者】
今【皇、颯、湧】

第四章 告白
らいおんハート【皇輝】
エンジェルはーと【颯太】
Congratulations【渉、湧、拓、星、陽、海】

 

○JOHNNYS' Wedding IsLAND Ⅱ
キミとのキセキ【皇、颯】
LOVE風【皇】
チェリッシュ【渉、拓、湧】
10年後の今日の日も【皇、颯、星、陽、海】
White Love【5忍者】
たいせつ
愛なんだ

 

Perfect
もう君以外愛せない【皇、颯】

 

○Encore
Make my day
100% I Love You
なんねんたっても

 

 

ここからは細かい部分を。

 

・オープニング

ここは単純にショータイム。まだ結婚披露宴は始まりません。

Lucky Star後に司会進行役の渉からコンセプトの説明があり

教会の鐘の音とともに鳴り響く♪結婚行進曲をBGMに

皇輝と颯太がゴンドラに乗って登場。

二人ともが新郎であり新婦でもあるので、衣装は白のタキシードをベースとしつつ、ティアラや指輪のモチーフをあしらったきらびやかなもの。

 

続いて赤、青、黄色の衣装をつけた渉、湧、拓実が登場し

結婚式の定番ソング「てんとう虫のサンバ」を披露

てんとう虫の格好をしたちびっこ3人も登場し、皇輝と颯太の周りでわちゃわちゃしていきます。お兄ちゃんの晴れ姿に、星輝もどことなくいつもより嬉しそうです。

 

再びゴンドラが上昇し「Aniversary」

その後ゴンドラから降りてきた二人が挨拶をし

 

怒濤のウェディングソングメドレー

JOHNNYS' Wedding IsLANDの第一弾がスタート。

会場中がお祝いムードに包まれるLOVE YOU ONLY

愛はタカラモノでケーキ入刀

ちびっこ3人による With youを経て

大事そうにブーケを抱えた颯太が登場し、満面の笑みで「花言葉」。

スキの二文字をれながら二人で作る「背中越しのチャンス」

皇輝の「止まらねぇ!」を合図に全員が登場し、幸せ溢れる「喜びの歌」

第一弾ラストは5つのスポットライトだけのシンプルな演出で、5忍者が美しく「One Love」を。

 

その後、皇輝と颯太はステージ端に設けられた高砂に手を取り合って移動。

他のメンバーによる余興コーナーが始まります。

 

まずは星野源の「恋」。もちろん高砂の二人もその場でダンス。

ジャニーズ伝説2018でも着用しているこの衣装で、かわいらしく「はじめてのチュウ」を歌う渉に、同期の皇輝さんもご満悦。

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拓実が持ち前の歌唱力を活かして「糸」をしっとりと聞かせた後

湧のコーナーは一波乱。みんなびっくりのウェディングドレスで登場しSugarの「ウェディング・ベル」を披露。

思い人との結婚が叶わなかったばかりか、別の人との結婚式に招待された女性の心情を皮肉たっぷりに歌ったこの曲で

湧の颯太への思いが大爆発。悔しそうな顔で、しかしひょうきんに場を盛り上げる湧に

皇輝も颯太も楽しそう。

楽しい雰囲気の中、やはり定番の「お嫁サンバ」を賑やかに

ハッピーサマーウェディング」の間奏の台詞は皇輝か颯太にその場で無茶ぶり。

 

ステージには渉だけが残り

バックのスクリーンに皇輝と颯太のツーショット写真が投影される。

そう二人の馴れ初めストーリーの始まり。

(皇輝と颯太の語りを交えながら進行)

衣装は私服風のものに。

 

第1章

皇「僕らはジャニーズJr.にならなければ出会わない二人でした。」

→それぞれの入所当時の思い出(がありそうな)曲を披露

颯「そんな僕らが初めて一緒に歌ったオリジナル曲は忘れられない、ずっと大切にしたい曲です。」

→3秒笑って

 

第2章

颯「2018年の春、もうすぐ高校生になろうとしてる僕にはひとつの願いがありました。」

スクリーン【Endless Shockロゴ】

皇「この舞台を、うっちーが一緒に見に行きたいと雑誌で誘ってくれたときは嬉しかった。でもなんだかちょっと照れくさかったな(*^.^*)」

颯「いつか二人でSHOCKに出させてもらえるように頑張ろうね!」

→SPゲストの堂本光一が登場で「CONTINUE」を披露。

 

第3章

颯「SHOCKの見学を機に、皇輝のおばあちゃんからグッピーを分けてもらったり距離が縮まった僕ら二人。」

皇「そんな僕らの運命を動かす2018年の夏がやって来ました。」

颯「少年忍者の誕生」

皇「うっちーの怪我」

颯「右手首の怪我をしてしまい、満足にリハーサルに参加できなかった僕を皇輝が支えてくれました。隣で踊るときに気にかけてくれたり、この頃からシンメで踊ることも増えました。ありがとう、皇輝。」

皇「今ここに僕ら二人が立っていること。すべてはあの夏に繋がっています。」

→エンドレス・サマー

 夏の思い出の曲「まいったネ 今夜」「今」

 

第4章

皇「そして5忍者となり、一緒の時間を多く過ごすなかで」

颯「僕らは日に日にお互いを必要とするようになりました。」

皇颯「そしてあの日…」

向かい合う二人

まず皇輝が らいおんハート

そして颯太が エンジェルはーと(らいおんハートのアンサーソング) でお返し

皇「うっちー、いや、颯太」

颯「皇輝」

皇颯「ずっと一緒にいてください」

→銀テープが飛び、他のメンバーが登場

 二人を囲んで祝福の「Congratulations」

 

そしてこの幸福感のまま

Wedding IsLAND第二弾へ

鳴り響く教会の鐘が印象的な「キミとのキセキ」をぎゅっと寄り添いながら歌う皇輝と颯太

 

幸せな顔をした皇輝が颯太のためだけに歌う「LOVE 風」

颯太も横で嬉しそうに聞いている

 

チェリッシュ、10年後の今日の日も

を経て

 

White Love ではお揃いの真っ白な衣装に身を包んだ5忍者が尊い

 

そしてみんなでわちゃわちゃ「たいせつ」と「愛なんだ」

 

 

改めて皇輝、颯太それぞれの挨拶

皇「本当に結婚するわけではありませんが、これからも5忍者の仲間として、大事な同級生として」

颯「色々な苦難を一緒に乗り越えていきます」

→全員でPerfect。紙吹雪が舞う。

 

本編ラストはもう一度向き合った二人が「もう君以外、愛せない」を熱唱

時折、ぶつかる視線に照れくさそうな笑みを浮かべながらも反らさない二人に

会場中が絆の強さを感じる瞬間です。

正面向き直って深く礼をする二人、幕が降りてくる。

幕に【Koki & Sota Happy Wedding】の投影

切り替わって二人のツーショット自撮り

 

 

さて、いかがでしたでしょうか。

同い年で、お互いのことをいい意味で意識して認め合っている皇輝と颯太

そんな二人の未来が、これからも輝いていることを願って

結びの言葉としたいと思います。

 

 

 

 

2018.9.16. 輝かしい未来へ

今日、2018年9月16日

あなたは、その歌手としてのキャリアに幕を降ろしますね。

 

安室奈美恵さん。

 

今日を最後に表舞台から離れていくあなたに

伝えたい、伝えなきゃ意味がない想いを

ここに綴っておこうと思います。

 

私があなたと出会ったのは2008年の春でした。

それ以前から、安室奈美恵という歌手の存在は知っていましたが特段関心を持ってこなかったわけですが

MUSIC FAIRでの「WHAT A FEELING」のパフォーマンスを見て衝撃を受けたのを今でも覚えています。

 

そしてその夏、「BEST FICTION」を手に取った中学1年の私は

安室奈美恵が作り出す音楽の虜になっていました。

 

なので今でも「WHAT A FEELING」や「Do Me More」を聞くとワクワクする、あの感覚が蘇ってきます。

 

それからライブDVDを見たり

実際にライブを見させてもらったりしているうちに

私の中にはこんな気持ちが沸き上がってきました。

 

この人みたいになりたい

 

もちろん性別こそは違いますが

元来人前で歌ったり踊ったりするのが好きな私は

いつか安室奈美恵のようなパフォーマンスがしたいって

そう思うようになりました、とても強く。

 

だから大学時代のサークルで安室奈美恵のノンストップで歌って踊るライブに挑戦しました。

3年間続けてきたNon-Stop Liveというその企画は

間違いなく私の人生のブックマークになっています。

 

結局

私にはあなたのようなパフォーマンスができなかったと思います。

 

だけど、あなたの背中に憧れて

音楽と、ステージと向き合ってきた日々は間違ってなかったなって

走り続ける安室奈美恵を必死で追いかけて走った時間はかけがえのないものだったなって。

 

最後のドームツアー

どんな気持ちになるんだろうって向かった東京ドーム。

 

涙を流しました。

笑顔にもなりました。

そして最後といっても、まだまだ進化し続けるステージに

ただただ感服しました。

 

私は安室奈美恵の25年間を知ってるわけではないけど

だけど、それだけの長い間

自分のやりたいこと、スタイルを貫いてきた人の姿って

本当に美しいし、ドラマだし、勇気をくれるものだと思いました。

 

そんなカッコいい人と同じ時間を共有できたこと光栄に思います。

 

いちパフォーマーとして、ひとりの人間として尊敬の念を禁じ得ません。

 

まだまだやれるだけの力があるあなたの

新しい音楽やステージとはもう出会えないのかと思うと

残念でなりません。寂しいです。

 

正直、今だって「引退」なんて嘘だったらいいのにって

今が夢を見ている状態なら、ずっと夢の中で生きてたっていいって

そんな風に思っています。

 

だけど、これからも

私には私の

あなたにはあなたの人生があります。

 

この先いつか、何かがあったとき

あなたからもらった、たくさんのものを励みにして乗り越えていけると思います。

 

そしてあなたにも、歌手・安室奈美恵としての年月が

この先の人生のどこかで支えとして生き続けていてくれたら

それほどに幸せなことはありません。

 

 

25年間、素敵な音楽やステージを産み出してくれて本当にありがとうございました。

 

 

2018.9.16

この場所から、輝かしい未来へ

 

明日を駆ける 少年たち ~辻本看守の闇~

今回は「明日を駆ける 少年たち」劇中で辻本良が演じた看守について考えてみたい。

この役に名前がついているかは定かではないが、便宜上 以下では辻本と呼称する。

 

本作における監獄で最大のヒールは看守長である。これについて異論があるものはなかろう。

それに対し、新人看守の今江は潜入捜査官という立場であるため、ライトサイドの人間であると見て良いと思われる。

 

では、他の看守たちはどうなのだろうか?彼らはどのような経緯であの監獄にたどり着き

どのような心情でもって看守長に従っていたのか。

 

終盤で今江を筆頭に看守たちは、制服を一新して登場していることから見て

少なくともエンディングを迎えた時点での彼らはライトサイドとして歩んでいると見ることができるのかもしれない。

 

だが、その中で一人気になる存在が 辻本 である。

彼は看守の中でもとりわけランクが高いものというわけではないのだろう。

(ただし脱獄の場面で重要な鍵を携行していることもわかる。)

 

では注目されるべきことは何であるのか。

それは囚人をいたぶったり、乱闘をするときの彼の表情である。

 

筆者にはあの表情が看守長の命令にしたがって、またなんらかの葛藤を抱えて

仕方なく暴力をふるっているものにはどうしても思えないのだ。

 

いや、むしろ囚人を暴力でいたぶるという行為そのものに喜びを感じているような

そう言うならば限りなく看守長に近い人格を持っているのではないかとそんな気さえする。

 

それが最も現出しているのが後半でのミチエダとの乱闘場面である。

ミチエダの攻撃を受けた辻本は、不敵な笑みを浮かべ自分の首のあたりを手でなぞる。

まるで自分の痛みにすら悦びを見出だしているように、そしてその分をミチエダにお返しするのを楽しんでいるかのように。

 

そうなってくると彼の精神を、人格をそこまで追い込んだ闇とは何だったのだろうか。

公式にそこまでの裏設定がなされているかは甚だ疑問であるが、想像をしてみようと思う。

 

監獄にやってきた囚人たちは、それぞれが社会ではみ出し、出る杭は打たれ、何らかの不信感を持ってる節があるが

辻本も同じなのではないか。

 

むしろ看守となる前の彼は、素直で心優しい少年だったのだ。

社会のルールから逸脱しない、人を傷つけない

そんな善良な少年だった。

 

しかし、そんな一人の少年を大人の闇が飲み込んだ。

 

大学時代の親友が巨額の借金を苦に自殺し、知らぬ間に連帯保証人にされていた父親と辻本ら家族は苛烈な取り立てに苦しめられる。

玄関には誹謗中傷のビラが大量に貼り付けられ、嫌がらせの無言電話は絶えずかかってくる。

身に覚えのない出前や、通信販売の品物が次々と届けられる。

学校では「辻本の父親は過去に人を殺した」という根も葉もない噂を流され、次第に居場所を喪っていく。

 

父親は精神不安定になり自室に引きこもるようになる。

母親はそんな父親と、陰惨な生活から逃れるように家に帰らなくなる。

いつしか辻本は家庭内でもひとりぼっちになってしまった。

 

最終的に父も自殺、母は以来一切の消息を断った。

親戚たちも彼を腫れ物のように扱い、受け入れようとしない。

そんな幼い少年のもとに、取り立ての魔の手が迫る…

 

ところに現れたのが看守長である。

闇社会ともパイプのある看守長は取立屋と取引をし、辻本の身体の自由を約束させる。

ただし、彼が監獄の島で自分の手駒となることを条件に。

 

看守長は大人の闇に翻弄された彼の心の弱味につけこみ、一気にダークサイドへと突き落とした。

「気に入らない人間は消してしまえばいい。」

そう言って島へ旅立つ前夜、少年の手に拳銃を握らせた。

 

その夜、辻本家を苦しめた取立屋が何者かに殺害されていた…。

 

 

明日を駆ける 少年たち ~守られる大西流星から、守る大西流星へ~

2018年の夏、大西流星はまたひとつ大きくなった。

 

小学5年生でジャニーズに入り、即座にお兄さんたちに囲まれながら活動してきた流星は

風貌のかわいらしさと、人懐っこい性格もあり

常に先輩たちからも、ファンからもかわいがられながら歩んできた。

 

2017年に上演された「少年たち 南の島に雪が降る」では日記をつける新人を演じていた流星。

例えばブランコに乗る場面では、新入り故に赤チームメンバーからいじめられそうになっていたところをニシハタに助けられていた。

 

そしてそれまでに経験したことのなかった仲間の存在に包まれた彼は脱獄を呼び掛ける。

 

クライマックスではダイゴとトアをかばい、看守長の放つ凶弾に倒れた。

そして息を引き取るその瞬間も大好きな仲間たちに見守られながらだった。

悲劇的な展開でその命を落としたリュウセイだが、きっと最期は暖かく、幸せな時を過ごせたのだろう。

ラストシーンではダイゴが押してくれたブランコに

嬉しそうな、それでいてどこか切ない笑顔を浮かべる姿が印象的だった。

 

 

そんな、みんなの弟的な存在である流星にも

次々と後輩が登場してくる。

それに伴い、お兄さんらしく振る舞う姿も多く見られた。

 

2017年のX'mas Showでは次世代チームのリーダーを立派に務めあげたが

千秋楽で西畑らの顔を見た瞬間に安心したのか涙をおさえることのできなくなったところは

まだ16歳の小さな背中に、大きな重圧を背負いながら走ってきた流星を象徴するシーンだったのではないか。

 

 

2018年6月、大西流星にとって大きな転機になったのが

ミュージカル 魔女の宅急便 だ。

 

過去にもドラマ「スターマン この星の恋」に単独で出演したことがあったが

関西Jr.の枠を飛び越えて初めてミュージカルに挑戦したことは大西流星を大きく変えた。

 

魔女の宅急便で演じたトンボは

流星の実年齢よりも若い14歳、空を飛ぶことに憧れたピュアな少年である。

そんなトンボがキキと出会い、時に悩みながら成長していくわけであるが

 

ある日、体調を崩して飛べなくなってしまったキキをかばって、トンボはこう言う。

 

「キキを悪く言うのはやめてください」と。

 

彼がこの台詞を言い放った相手は町長をはじめとした権威のある大人たちである。

一人の少年が立ち向かうにはあまりに大きな存在ではないか。

 

しかし、彼は無自覚かもしれないが既に大事な人だと思っているキキが

大人の理不尽で責められることを見逃しておけなかった。

キキを守りたかったのだ。

その証拠に、このときの声色には怒りではなく、どこまでも優しさに溢れるものだった。

 

そしてトンボはキキを、そして町の人々の期待を守るために

自らの危険を顧みず、自作の飛行機に乗り込んだ。

怖かったはずだ。一度も成功したことがないのだから。

それでも守りたいものがある。

そんな思いがトンボを強くさせたのだろう。

 

 

このミュージカルを経て、スキル的にも精神的にも大きく成長した大西流星

8月、満を持して大阪松竹座に凱旋したのが「明日を駆ける 少年たち」だ。

 

前年から配役を一新して開幕した本作で流星が演じたのは

赤チームのリーダーであり、弟のトアにとってはかけがえのないお兄ちゃんであった。

 

昨年は助けられたブランコのシーン。

今年は同じようにいじめられそうになっていたナガオを助け、声をかける役を担った。

 

青チームや看守との乱闘ではトアを危険から守るべく戦った。

そしてトアが不安を口にしたとき、励まし、隣で肩を抱いてやったのは他でもない兄のリュウセイであった。

 

しかしそんな兄弟を運命が引き裂いた。

精神的に不安定になったトアは何かに導かれるように入水して亡くなる。

 

それを発見したときのリュウセイは切なく強かった。

大好きな弟の死である。きっと受け入れられない部分があったはずである。無念だっただろう。

そのとき彼が言ったのは

「こんな冷たくなって、寒かったやろ…」

「ごめんな、兄ちゃん守ってやれなかった…」

どこまでも弟を思い遣り、残酷なほどに美しい愛情を弟に投げ掛けた。

 

そして最愛の弟のために、生前二人で楽しく踊った「ポケットに青春のFun Fun Fun」を声を震わせて歌い上げる。

トアが天国でさみしがらないように、元気になれるように。そんな願いが込められていたのではないか。

 

そしてクライマックス、看守長により狙撃され息を引き取るナガオの亡骸に寄り添い

看守に引き剥がされそうになっても、離れるまいとしていた彼の姿は

紛れもなく赤チームのリーダーであった。

 

ある意味では、本作でのリュウセイはトアとナガオを守り抜くことはできなかったのかもしれない。

しかし二人にとってリュウセイは頼れるお兄ちゃんであり、自分を守ろうとしてくれる存在であったのは間違いないだろう。

 

もうそこには誰かに守られる大西流星の姿はなかった。

幻の Cosmic 忍者 ~小さな星たちの輝くメロディー~

Cosmic Melody。

東京B少年の記念すべき初めてのオリジナルソング。

この夏開催された「夏祭り 裸の少年」でも
合同公演、B少年単独公演の両方で披露された一曲だ。

 

Cosmic / 宇宙の というタイトルの通り
どこか異世界のような煌びやかさと、心弾むメロディーを持つこのナンバー
「夏祭り―」では2番も含めフルで披露され
金指一世の悩殺ソロパートや、意外にアゲアゲな2サビの歌詞など
また新たな色で来場者を魅了したといっても過言ではないだろう。

 

しかし、この Cosmic Melody をめぐってある種の事件が起こっていたのだ。
それはささやかであるが、重大でもある変化だった。

 

7月の合同公演のCosmic Melodyでは、5月のジャニーズ銀座(参照:https://www.youtube.com/watch?v=r5XQeLDQ0tA&spfreload=10)に続いて
この夏誕生した新ユニット・少年忍者が参加していた。

 

少年忍者は、当初「ちびっこ忍者」として発表されていたにも関わらず
公演初日に突如ユニット名が変更になったことで界隈をざわつかせたが
そのユニット名の変化に違わず
ちびっこから少年へ、そしてさらなるステップをまさに現在進行形で駆け上がっているチームであることも示しておきたい。

 

合同公演における Cosmic Melody は東京B少年少年忍者によって完成されていたと言える。

 

先に提示した動画にも残っているジャニーズ銀座における Cosmic Melodyでは
まだユニット名をもらっていない忍者たちは、あくまでもバックに過ぎないような印象がある。

 

しかしこの夏の Cosmic 忍者は単なるバックという域を超えていた。
曲の途中まで、忍者たちは正規の振り付けを一切踊らない。
すべてフリーダンス、それぞれの個性が光る時間である。
ただ楽しそうに笑いながら飛び跳ねる内村颯太。
シフト、ダブルシフト、そして跳ね起きという技を繰り出す川﨑皇輝。
それぞれが思い思いに、楽しげに踊る姿は Cosmic / 宇宙 の深い闇でさえも晴らしてしまうような
そんな気さえさせるものだった。

大前提として、きっと彼らはこの曲が好きなのだろう。「楽しそう」というよりも「楽しい」のだろう。

 

1番のAメロからBメロにかけて忍者たちは分かれて列をなし
次々とソロダンスを披露しては、袖にハケテいく。
Bメロになるにつれて、一人当たりの持ち時間が短く忙しなくなっていくが
「今」という瞬間を、休むことなく走り続ける忍者たちの姿が
偶然だろうか、うまく反映されていたように思う。

袖に去っていった忍者たちは、休む間もなく上下のセット上に登場し
再び正規の振付にとらわれずフリーダンスを始める。
ここでもまた忍者たちのとびきりの笑顔がキラリと零れる。
まさに至福のひと時であった。

 

そして初披露の2番。
「一つ 二つ 三つ 四つ 五つ はい、六つ」という歌詞に合わせて
セットの上で忍者たちが6つの班に分かれ、それぞれに創意工夫を凝らしながら
自分たちに割り振られた数字を表現していく。
内村颯太らが担当した「三つ」では
彼らが大事に歌ってきた名曲「3秒笑って」を彷彿とさせるポーズを見せており
以前と変わらないこどもらしいまぶしい笑顔と、以前よりも大きくなった彼らの姿は目頭を熱くした。

それに続く、件の金指悩殺ソロパートでは湧き上がる会場と同じく
忍者たちの顔もほころんでいたのが印象的である。

そして再び忍者たちはB少年の待つステージへと降りていき
「跳ねろ」という歌詞のごとく、煌びやかに飛び跳ねながらサビを盛り上げる。
しかしクライマックスはまだまだここではない。
2サビの後半、6人のB少年の周囲を、忍者たちが2人ずつ程度の単位で踊りつつぐるぐる回っていく場面があった。
もはやステージのどこを見ればいいのかわからないほど、それぞれがそれぞれをアピール姿は
やはり宇宙の深い闇をも照らしてしまうほどのパワーを感じさせた。

圧巻であった。

 

このとき筆者は思ったのである。
Cosmic Melodyの主役は東京B少年であり
彼らは宇宙で言えば自ら光り輝く恒星であると。

それに対して少年忍者はそんな恒星たるB少年の軌道上を公転し
恒星が放つ光を受けて輝く惑星なのではないかと。


さて、ようやく間奏にたどり着いた。
ここにきて、ついに忍者がみな同じ振り付けを踊り出したのだ。
少年忍者の魅力はそれぞれの光る個性でありながら、それと同時に14人での息の揃った、迫力溢れる群舞である。
それが満を持して発揮された瞬間と言ってよいだろう。

 

続くCメロでは、マーチのように軽快なスネアドラムのリズムに乗って
B少年が隊列を組み、ステージを左右に移動していく。

それに合わせて数人の忍者が縦二列程度で並びながらステージを所狭ましと躍動していく。
恒星の軌道を公転する惑星という関係にはあてはまらないが
ここでもやはりB少年の動きに呼応して動いていく忍者。二つの光の塊が歯車のように噛み合いながら、より大きな光を放っていく。

 

そしてついに宇宙をかける壮大な物語はクライマックス・ラスサビを迎える。

環になり向かい合いながら踊るB少年というのが見所のひとつであるのだが
今回はそこに忍者も加わっている。
そう。6つの恒星を取り囲む惑星のように。
その姿はメインとバックではない。
もちろん衣装はB少年の方が豪華できらめいている。
しかしその差を感じさせないほどに、いきいきとした表情で、まぶしいほどの表情で忍者が踊る。

B少年と少年忍者で作り出した宇宙が
大きく膨張し、無限の輝きを放ち始めた。


いわば、この夏の Cosmic Melodyは20人の少年たちが産み出す
儚く、危うくも壮大で力強い宇宙が口ずさむ幸福の音色だったのではないだろうか。

この惑星系はB少年と忍者の両者が揃って初めてバランスが保たれていたのではなかろうか。


しかし、そのバランスはある日突然崩壊のときを迎えた。

B少年単独公演の二日目
東京六本木から惑星たちが姿を消した。

 

少年忍者が Cosmic Melody に出演しなくなった本当の理由はわからない。

単純にB少年だけを目立たせたくなったのかもしれない。
後に続く「まいったネ 今夜」で壮絶なタップダンスを披露する忍者のスタミナ面への配慮かもしれない?
あるいは、「まいったねー」のために衣装やシューズを替える時間をとりたかったのかもしれない。

 

真相はわからない。この先も語られることはないだろう。
この宇宙にはわからないことが溢れている。
わからないからこそ、神秘的であるからこそ宇宙は美しいのだ。人々はロマンを感じるのだ。
であるとすれば、突如消え去ってしまったあの宇宙も
どこまでも神秘的でミステリアスな美しさを永遠に残してくれるのかもしれない。

 

むろん、断っておくが
B少年6人だけでの Cosmic Melody を否定するつもりはない。
あの曲はB少年の曲であり、B少年がいれば成立するのだ。

 

ここからは忍者担である筆者の私見である。
恒星だけになってしまった宇宙はどうだったか。
絶妙なバランスキープにより、お互いの輝きを増幅させあっていた惑星を失った宇宙は。
やはり、どこか物寂しいような
少なくとも20人で産み出したあの光には、多幸感に匹敵するものを6人で産み出すのは困難を極めたのではないか。

 

Cosmic 忍者は彗星のように光を放ちながら、夏の夜空を駆け抜けていった。
またいつの日か、6つの恒星と14の惑星たちが紡ぎだす小さな大宇宙と
それが奏でる煌めく音色を
私たちが感じる日は来るのだろうか。

 

そして14の小さな惑星たちが
大きな恒星となって、自分たちの色で
新しい宇宙を作り出してくれることを期待せずにはいられない。

 

 

追記

8月26日の最終公演Wアンコールにて

忍者も参加して Cosmic Melody が披露されたようである。

この夏の最後に、ささやかながら大きな奇跡が起こった。