幻の Cosmic 忍者 ~小さな星たちの輝くメロディー~

Cosmic Melody。

東京B少年の記念すべき初めてのオリジナルソング。

この夏開催された「夏祭り 裸の少年」でも
合同公演、B少年単独公演の両方で披露された一曲だ。

 

Cosmic / 宇宙の というタイトルの通り
どこか異世界のような煌びやかさと、心弾むメロディーを持つこのナンバー
「夏祭り―」では2番も含めフルで披露され
金指一世の悩殺ソロパートや、意外にアゲアゲな2サビの歌詞など
また新たな色で来場者を魅了したといっても過言ではないだろう。

 

しかし、この Cosmic Melody をめぐってある種の事件が起こっていたのだ。
それはささやかであるが、重大でもある変化だった。

 

7月の合同公演のCosmic Melodyでは、5月のジャニーズ銀座(参照:https://www.youtube.com/watch?v=r5XQeLDQ0tA&spfreload=10)に続いて
この夏誕生した新ユニット・少年忍者が参加していた。

 

少年忍者は、当初「ちびっこ忍者」として発表されていたにも関わらず
公演初日に突如ユニット名が変更になったことで界隈をざわつかせたが
そのユニット名の変化に違わず
ちびっこから少年へ、そしてさらなるステップをまさに現在進行形で駆け上がっているチームであることも示しておきたい。

 

合同公演における Cosmic Melody は東京B少年少年忍者によって完成されていたと言える。

 

先に提示した動画にも残っているジャニーズ銀座における Cosmic Melodyでは
まだユニット名をもらっていない忍者たちは、あくまでもバックに過ぎないような印象がある。

 

しかしこの夏の Cosmic 忍者は単なるバックという域を超えていた。
曲の途中まで、忍者たちは正規の振り付けを一切踊らない。
すべてフリーダンス、それぞれの個性が光る時間である。
ただ楽しそうに笑いながら飛び跳ねる内村颯太。
シフト、ダブルシフト、そして跳ね起きという技を繰り出す川﨑皇輝。
それぞれが思い思いに、楽しげに踊る姿は Cosmic / 宇宙 の深い闇でさえも晴らしてしまうような
そんな気さえさせるものだった。

大前提として、きっと彼らはこの曲が好きなのだろう。「楽しそう」というよりも「楽しい」のだろう。

 

1番のAメロからBメロにかけて忍者たちは分かれて列をなし
次々とソロダンスを披露しては、袖にハケテいく。
Bメロになるにつれて、一人当たりの持ち時間が短く忙しなくなっていくが
「今」という瞬間を、休むことなく走り続ける忍者たちの姿が
偶然だろうか、うまく反映されていたように思う。

袖に去っていった忍者たちは、休む間もなく上下のセット上に登場し
再び正規の振付にとらわれずフリーダンスを始める。
ここでもまた忍者たちのとびきりの笑顔がキラリと零れる。
まさに至福のひと時であった。

 

そして初披露の2番。
「一つ 二つ 三つ 四つ 五つ はい、六つ」という歌詞に合わせて
セットの上で忍者たちが6つの班に分かれ、それぞれに創意工夫を凝らしながら
自分たちに割り振られた数字を表現していく。
内村颯太らが担当した「三つ」では
彼らが大事に歌ってきた名曲「3秒笑って」を彷彿とさせるポーズを見せており
以前と変わらないこどもらしいまぶしい笑顔と、以前よりも大きくなった彼らの姿は目頭を熱くした。

それに続く、件の金指悩殺ソロパートでは湧き上がる会場と同じく
忍者たちの顔もほころんでいたのが印象的である。

そして再び忍者たちはB少年の待つステージへと降りていき
「跳ねろ」という歌詞のごとく、煌びやかに飛び跳ねながらサビを盛り上げる。
しかしクライマックスはまだまだここではない。
2サビの後半、6人のB少年の周囲を、忍者たちが2人ずつ程度の単位で踊りつつぐるぐる回っていく場面があった。
もはやステージのどこを見ればいいのかわからないほど、それぞれがそれぞれをアピール姿は
やはり宇宙の深い闇をも照らしてしまうほどのパワーを感じさせた。

圧巻であった。

 

このとき筆者は思ったのである。
Cosmic Melodyの主役は東京B少年であり
彼らは宇宙で言えば自ら光り輝く恒星であると。

それに対して少年忍者はそんな恒星たるB少年の軌道上を公転し
恒星が放つ光を受けて輝く惑星なのではないかと。


さて、ようやく間奏にたどり着いた。
ここにきて、ついに忍者がみな同じ振り付けを踊り出したのだ。
少年忍者の魅力はそれぞれの光る個性でありながら、それと同時に14人での息の揃った、迫力溢れる群舞である。
それが満を持して発揮された瞬間と言ってよいだろう。

 

続くCメロでは、マーチのように軽快なスネアドラムのリズムに乗って
B少年が隊列を組み、ステージを左右に移動していく。

それに合わせて数人の忍者が縦二列程度で並びながらステージを所狭ましと躍動していく。
恒星の軌道を公転する惑星という関係にはあてはまらないが
ここでもやはりB少年の動きに呼応して動いていく忍者。二つの光の塊が歯車のように噛み合いながら、より大きな光を放っていく。

 

そしてついに宇宙をかける壮大な物語はクライマックス・ラスサビを迎える。

環になり向かい合いながら踊るB少年というのが見所のひとつであるのだが
今回はそこに忍者も加わっている。
そう。6つの恒星を取り囲む惑星のように。
その姿はメインとバックではない。
もちろん衣装はB少年の方が豪華できらめいている。
しかしその差を感じさせないほどに、いきいきとした表情で、まぶしいほどの表情で忍者が踊る。

B少年と少年忍者で作り出した宇宙が
大きく膨張し、無限の輝きを放ち始めた。


いわば、この夏の Cosmic Melodyは20人の少年たちが産み出す
儚く、危うくも壮大で力強い宇宙が口ずさむ幸福の音色だったのではないだろうか。

この惑星系はB少年と忍者の両者が揃って初めてバランスが保たれていたのではなかろうか。


しかし、そのバランスはある日突然崩壊のときを迎えた。

B少年単独公演の二日目
東京六本木から惑星たちが姿を消した。

 

少年忍者が Cosmic Melody に出演しなくなった本当の理由はわからない。

単純にB少年だけを目立たせたくなったのかもしれない。
後に続く「まいったネ 今夜」で壮絶なタップダンスを披露する忍者のスタミナ面への配慮かもしれない?
あるいは、「まいったねー」のために衣装やシューズを替える時間をとりたかったのかもしれない。

 

真相はわからない。この先も語られることはないだろう。
この宇宙にはわからないことが溢れている。
わからないからこそ、神秘的であるからこそ宇宙は美しいのだ。人々はロマンを感じるのだ。
であるとすれば、突如消え去ってしまったあの宇宙も
どこまでも神秘的でミステリアスな美しさを永遠に残してくれるのかもしれない。

 

むろん、断っておくが
B少年6人だけでの Cosmic Melody を否定するつもりはない。
あの曲はB少年の曲であり、B少年がいれば成立するのだ。

 

ここからは忍者担である筆者の私見である。
恒星だけになってしまった宇宙はどうだったか。
絶妙なバランスキープにより、お互いの輝きを増幅させあっていた惑星を失った宇宙は。
やはり、どこか物寂しいような
少なくとも20人で産み出したあの光には、多幸感に匹敵するものを6人で産み出すのは困難を極めたのではないか。

 

Cosmic 忍者は彗星のように光を放ちながら、夏の夜空を駆け抜けていった。
またいつの日か、6つの恒星と14の惑星たちが紡ぎだす小さな大宇宙と
それが奏でる煌めく音色を
私たちが感じる日は来るのだろうか。

 

そして14の小さな惑星たちが
大きな恒星となって、自分たちの色で
新しい宇宙を作り出してくれることを期待せずにはいられない。

 

 

追記

8月26日の最終公演Wアンコールにて

忍者も参加して Cosmic Melody が披露されたようである。

この夏の最後に、ささやかながら大きな奇跡が起こった。